久しぶりにバンブーロッドを作製しております。
ここ数年五十肩の痛みの影響でカンナ作業が非常に辛くなっていて、無意識遠ざかっていました。
肩の痛みは左肩はかなり回復してきていますが、反面右肩が痛み始め、ロッドを振ることもためらわれるほどの状態で、ここ1か月は釣りにも行っていません。
竹割は以前していましたので、長さ調整をして、小刀でおおよその正三角形を目指し、削りだします。
曲がり直しはアルコールランプを使用しています。
ゆっくりと火を入れていくことで、曲がり直しの頃合い時間が長く保てると考えています。
また、ヒートガンのノイジーな時間が嫌なこともあります。
静寂の中でアルコールランプの揺らぎに竹辺をかざして直しをする時間の方が自分に合っているような気がしています。
おおよその三角形にしていることで曲がり直しもしやすく、すぐにプレーニングフォームに載せて削ることができるのです。
曲がり直しがバンブーロッドを作製する上で、一番重要だと考えています。
火入れの時にバインディングして火入れするので曲がりは矯正されると勘違いしている人も多いかと思いますが、矯正などされません。弾性変形した状態を保つだけで、バインディングをほどくと元の通り曲がってしまいます。
火入れがなされているのに曲がったままというのは、その曲がりを取り除くには更なる熱を加える必要が出てきますので、必要以上の火入れとなり、脆くなってしまいます。
ですから、火入れ前までに曲がり直しを十分行っておくことが重要なのです。
出はどれくらいの曲がり直しをするのがいいかというと、理想としては、プレーニングフォームの溝にブランクをはめ込んだときにブランクが浮き上がらないのが理想で、最低でもブランクの厚み以内の浮き上がりに抑えられるくらいに曲がり直しをしっかりと行うことが重要だと考えています。
Youtubeなどでプレーンで削っている動画を目にすることがありますが、ブランクの浮き上がりがすごくて、見てられない動画がほとんどです。
粗削り後のスクレッピングに関しても結構表面を削り過ぎているビルダーさんが多いように思います。
完成したロッドをSNSに掲載しているのを見たときに、これは結構表面のパワーファイバーを削り込んでいて太いファイバーが見えていることがあります。
竹のファイバーは表面のエナメル質の直近は小さいパワーファイバーが密集しており、その密集したファイバーの下の層には太いパワーファイバーがありますが、太いパワーファイバーは密集しているわけではないので、ここまで削っているバンブーロッドの表面には太い繊維上の線が見えているのです。
表面に細かな線が多数入っているのは表面の小さいパワーファイバーが露出している状態なのです。
なので、バンブーロッド表面を見ただけでそのビルダーさんの実力が分かってしまうのです。
仕上げ削りが終わったら、一度六角にまとめてテープ止めして、一か所をカットして開きの状態にして頂点をプレーンで数度なぞって頂点をわずかに削ります。
そのまま接着剤を縫って接着してしまうビルダーさんが多いようですが、ここでも一度テープを取り除き、ブランク1本ずつゴミを取り除いて、再度六角にまとめてから接着していくことでダストの嚙み込みを防止しています。
バンブーロッド作製に関しては、道具があればだれでも同じような形のロッドを作れてしまうのですが、その数多い工程の一つ一つをどれぐらい丁寧にやっているかについては分かりにくい部分が多いのですが、先ほどの表面の状態であったり、ブランクの接着材の隙間であったり、ラッピングの状態や、ガイドフットの整形状態、金具類の研磨状態、表面のコーティング状態等々を確認することで、そのビルダーさんの性格を読み取ることができると思っています。
誰でもできるロッド作りですが、工程が多い分だけ、各工程を100%に近い状態で仕上げていかないと、その工程分だけ歩留まりの掛け算になっていくので、完成したロッドが完璧ではなくなってしまうのです。
バンブーロッドは特徴を出しにくいので、フェルールをいじってみたり、節をなくしてみたりすることで自分なりのカラーを出そうとしている人も多いと思いますが、
そこで奇を狙うよりも、丁寧な作り方に徹した方が良いと思っております。
バンブーロッドはTipからグリップエンドまでにかけてのトータルのデザインにこだわっていますので、途中、フェルール部分で急激に膨らんだり、デザインを損なうロッドは綺麗なロッドに見えないのです。
フェルールの部分ですら、スーパースイスタイプよりもステップダウンの方が全体のデザインが綺麗だと感じているので、竹フェルールや、グラスフェルール等はデザイン的に........
まあ、これに関しては個人の好き嫌いの世界なので、何とも言えませんが、私の個人的な考えです。
過去にいろんなビルダーがいろんなフェルールを考え、作製してきたと思うのです。
それは最近に限ったことではありません、100年以上前から色々と試行錯誤されてきたいたはずなのです。
その試行錯誤の上で、現在のビルディング技術があるのだと思うのですが、名竿と言われているロッドが全てニッケルシルバーのフェルールだったりすることが、すべてを物語っていると思っています。
自分の求めているデザインを害するものをノイズと呼んでいて、バンブーロッドのフェルール部分の膨らみや、リールのサイドプレートに出ているネジなどはノイズだと捉え、そのノイズをなくするとことからデザインが始まっています。
フェルールに関してはデザインもそうですが、その加工精度の差が圧倒的に異なりますので、比較の余地がありません。
フライリールに関しては、余計なネジを露出させないためには?というところからデザインし、設計しています。
ノイズのない世界での「スローライフ、スローフィッシング」これが当面のテーマです。
