HARDY MARQUIS #6 マルチプライヤーリールのラインガードが割れたとの連絡がありました。
マルチプライヤーはハンドルを1回転させる間に1.6回転程度スプールが回転するのでラインを早く巻きたいときには便利な機能です。
ラージアーバーリールができる前にはこのような構造のリールが画期的だったようです。
反面、ハンドルを1回転させる間に1.6回転程度スプールが回転するということは、自転車でいうと重いギヤ比になっているということなので、フッキング直後一気に走り出す大型トラウトなどの場合このギヤ比が裏目に出てティペット切れやフックアウトの原因にもなっていたようです。
巻方向ではマルチプライヤーとして機能し、逆転時には通常リールのように回転するワンウェイクラッチを介在させた構造にすれば解決できると思うのですが、まあ、今の時代ではラージアーバーですべて解決できそうな気もしています。
デザインの好き嫌いはどうにもなりませんが.....。
冒頭のラインガードが割れたとの連絡に対して??マークだったのですが、送られてきたラインガードを確認してちょっとびっくりしたのです。
確かにラインガードが割れています。
このラインガードは樹脂製のラインガードにメッキしたラインガードだったのです。
調べてみると1970年代のオイルショックやフライラインのシルクラインから樹脂ラインへの変換期において、樹脂製のラインガードにメッキしたラインガードが使用された時期があったようです。
当然ながら摩耗や今回のような割れによるトラブルが多発したようで、現在は樹脂製のラインガードは無いようです。
それにしても、少しでもコストダウンに取り組もうとするメーカーの姿勢事態は良いのですが、お粗末な結果を招くことは想定できたのではないかと考えてしまうのです。
テストすれば簡単に答えが出るようなことをせずに市場に出してしまったメーカーの体制はさすが皇室御用達の看板にあぐらをかいてしまった企業体質が垣間見えます。
ということで、昔ながらの洋白材料を加工してラインガードの加工を行ないました。
快削洋白はPbを含有していて非常に加工性が良いのですが、通常の洋白はNi含有で結構固いのです。
卓上の非力な旋盤では中々切り込み深さを稼げず、時間のかかる加工になってしまいます。
加工途中には切削油を筆で供給しながらの加工となっています。
ともあれ、無事に加工も終了し、取り付けも完了いたしました。
ラインガードが割れることもなく、樹脂製ラインによって摩耗することも少ないと思われます。
コストダウンは大いに結構ですが、品質ダウンするのであればやるべきではないということを教えてくれる修理となりました。
